付録

社内AI利用規程(ひな型)

JDLA「生成AIの利用ガイドライン」を参考に作成した、中小建設業向けの社内規程サンプル。【 】内を自社に合わせて改変してご利用ください

社内AI利用規程(ひな型)

本規程は、日本ディープラーニング協会(JDLA)「生成AIの利用ガイドライン(第1.1版)」を参考に、中小建設業が社内規程として最低限定めておくとよい事項をまとめたひな型です。各社の実情に合わせて【 】内を改変し、既存の情報セキュリティ規程・個人情報保護規程・就業規則と整合させたうえでご利用ください。整備の際は、本ガイドライン第2章〜第6章および巻末チェックリストと併せてご活用ください。

第1条(目的)

本規程は、【〇〇建設株式会社】(以下「当社」という。)の役員および社員(以下「利用者」という。)が、業務において生成AIをはじめとするAIを安全かつ適切に利用するために遵守すべき事項を定め、生産性の向上と、情報漏洩・権利侵害等のリスク管理を両立することを目的とする。

第2条(適用範囲)

(1)本規程は、当社の全役員・全社員に適用する。

(2)当社業務でAIを利用する協力会社・委託先に対しても、必要に応じて契約により本規程に準じた取扱いを求める。

(3)本規程が既存の社内規程と矛盾する場合は、より厳格な規定を優先する。

第3条(利用を許可するAIツール)

(1)業務で利用してよいAIツールは、当社が許可したもの(ホワイトリスト方式)に限る。【現時点の許可ツール:(例)Microsoft 365 Copilot、ChatGPT Team/Enterprise、Google Gemini for Workspace】

(2)入力データがAIの学習に利用されない設定が可能で、利用者管理・利用履歴(ログ)の確認ができる法人向け環境を優先する。

(3)無料版・個人アカウントを、業務情報の入力に用いてはならない。

(4)当社が許可していないAI(シャドーAI)を、個人のPC・スマートフォン・個人アカウントで業務に用いてはならない。新たなツールの利用を希望する場合は【AI導入責任者】の承認を得る。

第4条(利用を禁止する用途)

当社は、次の用途での生成AIの利用を禁止する。【各社の実情に応じて追加・修正すること】

(1)安全・品質・構造計算・法令適合性など、人の生命・身体や重大な契約責任に関わる事項を、有資格者の確認なくAIのみで判断・確定する用途。

(2)差別・誹謗中傷・違法行為を助長する内容の生成。

(3)【(例)〇〇に関する対外公表物を、生成AIのみを用いて作成すること】。

第5条(データ入力時の遵守事項)

利用者は、次の情報を、許可された法人向け環境であっても原則としてAIに入力してはならない。やむを得ず用いる場合は、匿名化・要約化のうえ【AI導入責任者】の承認を得る。

(1)個人情報(従業員・顧客・協力会社担当者の氏名・連絡先・マイナンバー等)。本人の同意なく入力すると個人情報保護法違反のおそれがある。

(2)顧客・発注者の機密(発注金額、契約詳細、顧客固有の課題、未公表のプロジェクト情報等)。

(3)技術・工事情報(未公開の図面、特殊な工法ノウハウ、工事原価・単価、積算根拠等)。

(4)秘密保持契約(NDA)により他社から受領した秘密情報。第三者である生成AI提供者への開示となり、NDA違反のおそれがある。

(5)自社の営業秘密・ノウハウ。学習等により法的保護や特許出願の機会を失うおそれがある。

(6)個人や近隣住民が特定される現場写真、クレーム・事故記録。

【推奨】社内で作成・保管する文書には、AIに入力してよいかの表示([AI入力可]/[AI入力禁止])をあらかじめ付す。

第6条(生成物利用時の遵守事項)

(1)内容の正誤(ハルシネーション):AIの出力は「下書き」とし、法令・基準・仕様・数値等は必ず根拠を人が確認する。

(2)著作権侵害:生成物が既存の図面・文章・画像と同一・類似でないか照合する。特定の作者の作品のみを学習した特化型AIの利用や、既存著作物・作家名・作品名のプロンプト入力は行わない。

(3)商標権・意匠権侵害:ロゴ・商品名・広告等に用いる場合は、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)等で先行登録を確認する。

(4)著作権の不発生:AIが自動生成しただけの文章・画像は著作権が生じない場合があると理解し、公開素材は加筆・修正して用いる。

(5)商用利用の可否:利用するAIサービスの利用規約で、商用利用の可否・権利の扱いを確認する。

(6)ポリシー遵守:各AIサービスの利用ポリシー(禁止事項、AI利用であることの明示義務等)を確認する。

第7条(人による関与と最終責任)

(1)AIが外部に作用する場面(メール送信、見積提出、データ更新等をAIエージェントに任せる場合)では、実行前に必ず人が内容を確認・承認する(ヒューマン・イン・ザ・ループ)。

(2)対外提出物は、担当者確認 → 責任者確認 → 必要に応じて根拠資料の確認、の段階を踏む。

(3)成果物の最終責任は、AIではなく、担当した利用者本人および当社が負う。

第8条(管理体制・相談窓口)

(1)当社は【AI導入責任者】を置き、方針・推進計画の決定、ルールの承認、ツールの選定・許可、重大リスクの判断を行わせる。

(2)日々の疑問に答える【現場相談窓口】、および規程・マニュアルを見直す【ルール改定担当】を置く。

(3)進捗を管理するため【AI推進会議(原則月1回)】を開催する。

第9条(教育)

(1)全利用者に対し、年1回以上、AIの基本(できること・できないこと、リスク、本規程)に関する研修を実施する。

(2)職種ごとに活用例を分けて教育し、理解度・受講率・活用率・時間削減量等の指標で効果を測定する。

第10条(インシデント発生時の対応)

(1)情報漏洩・権利侵害等のおそれを認めた者は、【発見後1時間以内】に【AI導入責任者・相談窓口】へ第一報を入れ、【当日中】に詳細を報告する。

(2)被害範囲を確認し、必要に応じて顧客・発注者・関係者へ連絡する。

(3)原因を分析し、再発防止策を本規程・マニュアルに反映する。

第11条(規程の改廃)

本規程の改廃は【AI導入責任者】が起案し、【 】の承認を得て行う。法令・公的指針および利用するAIサービスの変更に応じ、半期に1回を目安に見直す。

附則

本規程は【令和 年 月 日】から施行する。

※本ひな型はJDLA「生成AIの利用ガイドライン(第1.1版)」を参考に作成した参考例です。実際の運用にあたっては、自社の実情・既存規程・最新の法令に合わせて内容を確認・調整してください(本ガイドライン免責事項参照)。