第7章

建設業務におけるAI活用シーン

管理・事務/施工・現場/営業・経営の3領域。実際の導入事例と今後想定の用途を区分して掲載

第7章 建設業務におけるAI活用シーン

本章では、AIの活用シーンを「管理・事務」「施工・現場」「営業・経営」の3領域に分けて示します。各シーンは、すでに導入事例があるものは出典を明記し、今後の活用が想定されるものは区分欄に「今後想定」と記載しています。

<strong>凡例:</strong>【事例】=公開された導入事例あり(出典明記) / 【今後想定】=中小建設業での活用が見込まれるもの

7.1 管理・事務(見積・書類・日報)

活用シーン内容区分出典・備考
日報・報告書の整理箇条書きメモや音声記録から、体裁の整った報告書・議事録に変換する。今後想定生成AIの定番用途
メール・通知文の作成協力会社への周知文、定型的な問い合わせ対応文の下書きを作成する。今後想定生成AIの定番用途
施工計画書の構成案標準的な工法に基づく手順・留意事項のリストアップや目次案を作成する。大成建設はRAGで施工計画書作成を支援。事例大成建設 DXサイト https://www.taisei-dx.jp/project/12/index.html
技術比較表の作成NETIS情報の整理や複数技術の比較検討を補助する。事例国交省 インフラ分野のAI実装に向けた取組方針 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001995898.pdf
社内ナレッジ検索社内の技術標準・過去事例・ノウハウ集をAIに学習させ、若手が必要な知見に即アクセスできるようにする(技術継承)。事例竹中工務店「デジタル棟梁」 https://ascii.jp/elem/000/004/160/4160800/

7.2 施工・現場(安全・品質・検査)

活用シーン内容区分出典・備考
災害予測・安全対策過去の労働災害データをAIが解析し、現場状況に応じた災害リスクと対策を提示する。事例鹿島建設「K-SAFE」 https://www.kajima.co.jp/tech/c_ict/safety_eco/index.html
品質検査の自動化スマホで鉄筋(ガス圧接)継手を撮影するとAIが施工状態を自動判定。従来約5分の検査が20~30秒に短縮。事例清水建設(日経クロステック) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/00737/
外壁・構造物の点検ドローン撮影画像/赤外線データをAIが解析し、タイルの浮き等を自動判定。足場が不要で安全性向上・コスト削減。事例竹中工務店「スマートタイルセイバー」 https://www.takenaka.co.jp/solution/asset/smarttile/
危険作業の自動化AI搭載の溶接ロボットが最適条件を判断しながら自動作業し、作業者の安全確保と品質均一化を実現。事例鹿島建設 https://www.kajima.co.jp/news/press/202411/11a1-j.htm
建物・設備の最適制御AI×IoTで温度・照明・防犯を統合制御し、快適性と省エネを両立。映像解析による不審者検知も行う。事例大林組「WellnessBOX」 https://www.obayashi.co.jp/news/detail/iotaiwellnessbox.html
安全教育資料の作成過去の災害事例をもとに、注意喚起資料や安全朝礼ネタの構成案を作成する。今後想定生成AIの活用が想定される領域

7.3 営業・経営(提案・補助金・採用)

活用シーン内容区分出典・備考
営業提案書の下書き自社の強みを整理し、提案書・営業資料のたたき台を作成する。今後想定生成AIの活用が想定される領域
インテリア提案画像の生成住宅の間取り図から、リアルな内装・インテリアのイメージを生成AIで作成し、顧客への提案に活用する。住宅販売の中小企業向け講義でも紹介されている。事例中小企業診断士 杉山岳文 氏(LinkedIn投稿) https://www.linkedin.com/posts/takefumisugiyama_%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E4%BD%8F%E5%AE%85%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E6%A5%AD%E3%81%AE%E4%B8%AD%E5%B0%8F%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%A7-ai-%E3%81%AE%E6%B4%BB%E7%94%A8%E8%AC%9B%E7%BE%A9%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8C%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%A7%E5%8F%82%E5%8A%A0%E8%80%85-activity-7409576330112970752-d6Oe?utm_source=share&utm_medium=member_desktop&rcm=ACoAAGCYonQBN2tf9740FpTQwS_zISSQVxc00e8 (令和8年7月28日閲覧)
パース図のリアル化(レンダリング)3次元パース図を、生成AIでリアルな写真調の画像に変換し、完成イメージに近づけて顧客へ提案する。受託サービスも登場している。事例ココナラ(パースのリアル化サービス例) https://coconala.com/services/842172
設計初期段階のデザイン検討支援(AiCorb®)建築設計の初期段階(概念設計)で、スケッチや3Dモデルのアウトラインから無数のファサードデザイン案を即時生成するAIと、選択したデザインの窓配置・形状等の特徴を3Dモデルに自動反映するAIの2段階で構成。設計者と顧客の合意形成プロセスを大幅に効率化する。大林組・SRI International・Hyparの三社共同開発。事例大林組「AiCorb®」(大林組技術研究所報 No.86, 2022)
補助金・助成金申請事業計画書の骨子作成や、公募要件に基づく文章整理を補助する。今後想定生成AIの活用が想定される領域
求人票・広報資料自社の強みを整理した求人票や採用ページ、広報文の下書きを作成する。今後想定生成AIの活用が想定される領域
近隣説明文の作成工事の近隣説明文・お知らせ文の下書きを、分かりやすい表現で作成する。今後想定生成AIの活用が想定される領域
全社AI活用基盤社内データを安全に活用できる自社専用のAI環境(RAG等)を整備し、設計・施工管理に展開する。事例鹿島「Kajima ChatAI」/日本国土開発(25のユースケース集) https://www.n-kokudo.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/06/20240612release.pdf
※「今後想定」の用途は、技術的に実現可能で他業種でも一般化していますが、建設業中小企業での公開事例が確認できていないものを指します。導入時は第5章・第6章のルールに従ってください。画像生成の活用では、他者の著作物・実在の物件写真の無断利用や、誇大な完成イメージとならないよう特に注意します。